犬のチェリーアイ整復手術
今回の症例紹介は犬のチェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)についてです。
犬の目には、上下のまぶたとは別に「第三眼瞼(だいさんがんけん)」という膜があります。
第三眼瞼には、涙の分泌に関わる第三眼瞼腺という組織があります。
通常、この腺は第三眼瞼の内側に収まっていますが、何らかの原因で支えが弱くなると、本来の位置から飛び出してしまうことがあります。この状態が「チェリーアイ」です。
目頭から赤〜ピンク色の丸い組織が出てくるため、さくらんぼ(チェリー)のように見えることから、この名前で呼ばれています。

写真の左目の内側から飛び出ているものがチェリーアイです
典型的には、目頭に赤やピンク色の腫れが見られます。
片方の目だけに起こることもあれば、両方の目に起こることもあります。
また、チェリーアイに伴って、
- 目が赤くなる
- 涙や目やにが増える
- 目をこする、気にする
- 結膜が腫れる
などの症状が見られることがあります。
チェリーアイは、第三眼瞼腺を本来の位置に支えている組織が弱いことなどが関係していると考えられています。
ただし、原因は一つとは限らないため、実際の診察では目の状態を詳しく確認し、ほかの病気がないかも含めて評価します。
チェリーアイの治療では、飛び出した第三眼瞼腺を本来の位置に戻して温存することが基本となります。
状態によっては、まず点眼などで炎症を抑えながら経過を見ることもあります。
一方で、飛び出した状態が続いている場合や再発を繰り返す場合には、手術によって第三眼瞼腺を元の位置に整復することを検討します。
第三眼瞼腺は涙を作る大切な組織のため、単純に切除するのではなく、できるだけ温存することが重要です。
実際に当院で治療した症例です。(最初に写真で登場していただいたワンちゃんです)
突出した第三眼瞼腺を確認し、周囲の組織を傷つけないよう注意しながら、本来の位置に戻して固定します。手術方法はいくつかありますが、今回は切開せず、固定は糸のみ使って実施していきました。手術に際しては再発やドライアイのリスクがあります。

支持糸をかけて第三眼瞼を牽引し、瞬膜線を奥に戻すイメージです。

糸を通していき、手術によって第三眼瞼腺が元の位置に整復されています。
(写真のみだとだいぶ伝わりにくいですね…)
手術直後は、手術による刺激によって目の充血や腫れが見られることがあります。
その後、時間の経過とともに少しずつ落ち着いていきます。

手術直後の状態です。第三眼瞼も腫れており、充血が見られます。

術後1週間の状態ですが第三眼瞼腺は本来の位置に収まり、腫れや充血は少し改善していきました。

約1ヶ月経った後の経過ですが最終的に赤みや腫れは引いてドライアイなどの合併症もなく過ごしておりました🤗
チェリーアイは、見た目の変化が分かりやすい病気です。
「目頭に赤いものが出ている」「以前より目が赤い」「目やにや涙が増えた」など、気になる変化があれば、ご相談ください。

