デグーの尾抜け(断尾手術)

⚠️出血、手術の画像があります。苦手な方は閲覧をお控えください⚠️

デグーの尾は、皮膚が尾の内部から剥がれやすい構造になっており、強い力が加わると、皮膚がスポッと抜けるように剥がれてしまうことがあります。
イメージとしては、ペンの筒からキャップが抜けるような状態です。

このような現象は「尾抜け(テイルスリップ)」と呼ばれています。

野生では、捕食者などから逃げるための防御機構と考えられています。しかし、飼育下でも、思いがけない事故によって起こることがあります。

例えば、
・誤って尻尾を踏んでしまった
・尻尾をドアやケージなどに挟んでしまった
・尻尾をつかんだり、引っ張ったりしてしまった
・尻尾が何かに引っかかった状態で、デグーが逃げようとした
などです。

デグーを抱き上げるときは、しっぽをつかまないように気をつけましょう!

今回は、尾抜けを起こしてしまったデグーのきなこちゃんをご紹介します。
きなこちゃんは、「尻尾が取れて血が出ている」との主訴で来院されました。

来院時、きなこちゃんは尻尾の皮膚が剥がれ、尾の組織が露出している状態でした。

尾抜けの治療には、大きく分けて外科治療(断尾)と内科治療があります。

① 外科治療(断尾)

損傷した部分の状態によっては、尾の傷んだ部分を切除する「断尾」という外科手術を行います。

② 内科的な管理

損傷の程度や状態によっては、傷口の保護や感染対策、疼痛管理などを行いながら経過を観察する方法もあります。

ただし、一度剥がれてしまった尾の皮膚が、自然に元の状態へ戻るわけではありません。

損傷した組織の状態によっては、壊死や感染などの問題が生じることもあるため、慎重な判断が必要です。
きなこちゃんは、飼い主さんと相談し断尾手術を行うことにしました。

デグーは体が小さいので、犬用のマスク内で麻酔を導入しました。デグーにとって、麻酔や手術には十分な注意が必要です。

麻酔がかかったら、小さいマスクを使用して維持します。

患部の様子です。

手術用の清潔なドレープを被して患部を消毒します。麻酔中は、心電図などの生体モニターも使用します。

出血をなるべく抑えるために血管を指で圧迫しながら、メスでV字型に皮膚を切開します。メスで尻尾を離断したら、電気メスを使用して出血を止めます。

出血が止まりました。止血後は、糸で皮膚を縫い合わせます。デグーの尻尾は裂けやすいため、慎重に行います。

縫合後の患部です。患部はしばらくの間、ガーゼで保護を行います。

麻酔から覚醒した直後のきなこちゃんです。術後は、傷口を噛んでしまわないようにエリザベスカラーを装着します。

覚醒から数時間後のきなこちゃんです。
術後は、傷口の状態や食欲、活動性などを確認しながら、おうちで回復を見守ってもらいます。
手術から2週間ほどで抜糸を行いました。

傷口はきれいに塞がっていました!

尻尾は他のデグーさんよりも少し短くなってしまいましたが、とても可愛いきなこちゃんです😄
きなこちゃん、よく頑張りましたね!

尾抜けは、日常生活の中で起こる思いがけない事故によって発生することがあります。

デグーを抱き上げる際は、しっぽではなく体全体を支えてあげてください。また、ケージの隙間や扉などにしっぽが挟まらないよう、飼育環境も確認してみましょう。

もし、しっぽの皮膚が剥がれていたり、出血していたりする場合は、早急に動物病院へご相談ください。