ウサギってどんな動物?

うさぎ

ウサギは、ふわふわの毛と大きな耳が特徴の愛らしい動物で、ウサギ目というグループに分類されます。ウサギ目はウサギ科、ナキウサギ科、サルデーニャウサギ科の3つの科に分かれており、ペットとして飼われる品種(ネザーランドドワーフやホーランドロップイヤーなど)はウサギ科に含まれます。
野生では森や草原などに暮らし、用心深く天敵から身を守りながら生活しています。

とても繊細でストレスに弱い

ウサギはとてもデリケートな動物で、痛みや急な抱っこ、大きな音、環境の変化はストレスの原因に。ストレスを受けると交感神経が緊張し、心拍数の増加や呼吸数の増加、筋緊張の上昇が起こります。これらは「闘争-逃走反応(Fight-or-Flight)」に近い生理反応で、捕食されやすいウサギにとって強く現れます。また、ストレスにより消化管機能の低下や食欲不振、免疫低下、血糖値の上昇、心不全などが起こる可能性があります。

夜行性ではなく「薄明薄暮性」

ウサギは「薄明薄暮性」で、朝の薄明(夜明け前後)と夕方の薄暮(夕暮れ前後)に活発になる動物です。ウサギは自然界では捕食されやすい弱い立場です。天敵が活発な時間帯を避け、安全な時間を選んで活動するために獲得した習性です。

ウサギの歯はずっと伸び続けます

ウサギの前歯(切歯)と奥歯(臼歯)は「常生歯」と呼ばれ、一生伸び続けます。伸びる速さは1ヶ月でおよそ1cmといわれています。そのため、毎日牧草をしっかり噛んで歯を磨耗させることがとても大切です。うまくすり減らないと歯が伸びすぎ、不正咬合や食欲不振の原因になります。歯の病気が多いのも、歯が伸び続けるウサギならではの特徴です。

生物学的な特徴

ここでは、ウサギの代表的な生物学的特徴をまとめました。

  • 寿命:5〜10年(長生きな個体では12年以上も)
  • 体重:0.9〜7.3㎏
  • 体温:38.5〜40 ℃
  • 心拍数:130〜325回/分
  • 呼吸数:30〜60回/分
  • 適温:およそ18〜23 ℃
  • 適湿度:およそ40〜60%
  • 発情の開始:メス:4〜5ヶ月
          オス:5〜8ヶ月
  • 性成熟:5〜12ヶ月
  • 性周期(発情周期):交尾刺激で排卵する誘発排卵
  • 妊娠期間:29〜35日
  • 産子数:平均4〜12頭
  • 分娩時間:朝方、通常30分以内
  • 飲水量:50〜150mL/kg/日

ウサギの飼い方

ウサギはとても繊細で、環境や食餌、日々のケアによって健康状態が変わります。ここでは、ウサギの飼育環境についてまとめました。

ケージの選び方は?

市販のウサギ用ケージはおよそ60〜90cmの大きさが一般的です。体を伸ばしたウサギの少なくとも4〜6倍が理想的ともいわれています。

ウサギはかじることが多いため、ケージの材質は塗装やビニールコーティングがされていないものがおすすめです。

床材の選び方は?

足裏の負担が少なくなるものを選びましょう。

  • プラスチック製のすのこ
  • 金網の床材に一部マット(チモシー製マットなど)を敷く
  • 牧草を厚く敷く

などがあります。
ウサギは犬や猫と異なり肉球がないため、平らで硬い材質の床で長時間過ごすと、足裏の一点に体重が集中しやすくなります。この圧迫や血行不良が続くことで、足底皮膚炎(ソアホック)を起こしやすくなります。凹凸のあるものや適度にクッション性のあるものを使い、足裏への負担を分散することが大切です。

設置場所の注意点

ウサギが安心して過ごせるように、ケージは直射日光や強い風を避けられる、静かで落ち着いた場所に置いてあげてください。大きな音や振動が伝わる場所、エアコンの風が直接当たる場所はストレスの原因になることがあります。ウサギが「ここなら安心できる」と感じられる、穏やかな空間づくりが大切です。

その他の用品

  • 食器:倒れにくい重さがあり、かじられにくい陶器製の食器がおすすめです
  • 給水器:衛生的で水がこぼれにくい給水ボトルを使用し、毎日新鮮な水に交換します。お皿タイプの吸水ボトル(ディッシュドリンカー)がおすすめです。
  • 牧草入れ:牧草が湿気や汚れを避けて入れられ、取り出しやすい位置に設置します。牧草はいつでも新鮮に食べられるよう、たくさん入れてあげましょう。

ウサギの食餌は、消化器や歯の健康に関わる大切なポイントです。

主食(牧草)

ウサギにとって牧草は、”ごはん”であると同時に”歯や胃腸の健康を守る道具”にもなります。いつでも自由に食べられるように、新鮮な牧草を食べ放題にしてあげてください。

牧草には種類があります

ウサギで使用される牧草は、大きくイネ科とマメ科に分かれます。

イネ科牧草

チモシー、イタリアンライグラス、オーチャードグラス、オーツヘイなど。
成ウサギの主食になります。繊維質が豊富で、胃腸の動きを整え、歯をすり減らすのに最も適しています。基本は、葉と茎のバランスがよく、繊維がしっかり取れる「1番刈りチモシー」をおすすめします。シングルプレスとダブルプレスがありますが、

マメ科牧草

アルファルファ、クローバーなど。
タンパク質やカルシウムが多く、嗜好性が高い種類です。成長期や妊娠授乳期、痩せている子には役立つこともありますが、成ウサギの常用には向きません。

一番刈りチモシーを食べてくれない場合は?

ウサギの飼い主さんからよくあるご相談です。ウサギの健康には一番刈りチモシーが欠かせませんが、あまり好きでない子もいます。

  • ペレットを食べすぎていることが多いので、量を見直す
  • イネ科で嗜好性の高いイタリアンライグラスやオーツヘイをチモシーに混ぜてみる
  • 牧草入れの形や高さを変える
  • お気に入りの産地やブランドをさがす
  • チモシーを短くカットしてみる

などの工夫で改善することが多いので、ぜひ試してみてください。

補助食(ペレット)

ペレットは牧草では補いきれない栄養を補助するためのフードで、主食はあくまで牧草で、ペレットは”少量を適切に”が基本です。
一般的な成ウサギでは、1日あたりのペレット量は体重の1.5%程度が目安との記載もありますが、製品やウサギの状態により調整します。タイミングは、1日複数回に分けて与えます。ペレットは食べやすく高カロリーなため、与えすぎると肥満や食滞といったトラブルの元になることもあるため、与え過ぎに注意しましょう。
色々な形や穀物が混ざったミックスペレットは、食いつきが良いことが多いですが、ウサギが好きなものだけを選んで食べてしまうため、栄養が偏りやすいという問題があります。どの粒を食べても同じ栄養が取れるように作られたペレットをおすすめします。

副食(野菜・おやつ)

野菜は主食ではなく、おやつの位置づけです。牧草とペレットをしっかり食べていれば必要ではありません。ですが、食欲が落ちた時の食欲刺激や、水分補給、お薬を混ぜる時などに役立つことがあります。普段から数種類の野菜に少量ずつ慣らしておくと、いざという時に助かることがあります。ほうれん草などシュウ酸の多い野菜は尿石症のリスクがあるために控えめに。キャベツや大根などアブラナ科の野菜も与え過ぎには注意しましょう。野菜もおやつも“楽しみ程度に少量だけ”が安全です。

ウサギに与えられる野菜(あくまでも少量に!必須ではありません)

葉物野菜

ブロッコリーの葉茎、キャベツ(与えすぎ注意)、小松菜、バジル・パセリ・ミントなどのハーブ類、セロリの葉、クレソン、ニンジンの葉・大根の葉(少量に)

根菜やその他

ニンジン、カブ、パースニップ、キクイモ

水分

水分不足は体調不良につながるので、きれいな水をいつでも飲める環境が大切です。体調や季節で飲む量は変わるため、普段より減っていないかチェックしましょう。ミネラルウォーターの方がいいですか?とご相談を受けることがありますが、通常の水道水で問題ありません。

食糞ってなに?

ウサギは、盲腸便(柔らかくぶどうの房のような形の便)を食べる習性があります。盲腸便を排泄する際は、自分でお尻に口を寄せて食べます。食糞はウサギにとって健康に欠かせない、大切な生理行動です。
ウサギは食べたものを1度だけでは十分に消化できないため、盲腸で発酵させた栄養豊富な盲腸便を作り、肛門から直接食べることでビタミンやアミノ酸、タンパク質を再吸収しています。これはウサギの体が必要とする栄養を取り込むための行動で、食糞をしないと栄養不良や体調不良につながることもあります。

ウサギはきれい好きで、トイレの場所を覚えられる子もいます。ケージの隅にトイレを置くと“落ち着く場所”として認識しやすく、成功しやすくなります。排尿(おしっこ)の方が覚えやすく、排便(うんち)は動きながら自然と落ちることもあるため覚えられない子が多いです。もしトイレが上手に使えなくても、落ちた分をさっと掃除してあげれば、ウサギにとっても飼い主さんにとっても十分快適に過ごせます。“できる範囲で清潔を保つこと”が大切です。

トイレの選び方は?

ウサギ用のコーナートイレや浅めのトイレが使いやすく、乗り降りしやすい形がおすすめです。体が大きい子には大きめのトイレを用意しましょう

毎日の衛生管理

おしっこやうんちが残ったままだと、においや皮膚炎などの皮膚トラブルの原因になります。汚れた部分は毎日取り除き、敷材はこまめに交換しましょう。トイレは週1〜2回を目安に丸洗いし、洗剤が残らないように十分すすいで乾かしましょう。

爪切り

爪が長いと引っかかりやすく、骨折や脱臼のリスクにもなります。ウサギの爪の中には血管が走っているため、爪が折れたり引っかかって抜けたりすると出血することがあります。
爪切りの頻度は1〜2ヶ月に1回が目安ですが、個体差もあります。
当院では爪切りだけの受診も可能ですので、お気軽にご相談ください。

ブラッシング(毛球症予防のために大切)

ウサギは自分で毛づくろいをするため、抜け毛を飲み込みやすく、換毛期(春・秋)には特に毛球症のリスクが高まります。ブラッシングをすることでウサギが抜け毛を飲み込むことを防ぐ目的があります。

  • 短毛種:週1回は行い、換毛期はできるだけ毎日
  • 長毛種:毎日

触られることを嫌がる子もいるため、無理のない範囲で実施しましょう。

毎日できる健康チェック

ウサギは体調の変化をかくす動物です。毎日のちょっとした気づきが、大きなトラブルの早期発見になります。

  • ごはんの食べ方はいつも通り?
  • うんちの大きさや量は変わっていない?
  • おしっこの色や量にちがいは?
  • 体をさわって痛がるところはない?
  • 普段より元気がない、落ち着かないなど行動の変化は?

などといった“いつもと違うな”と感じることがあれば、すぐにご相談ください。特に、ウサギが半日以上食べない場合はすぐに受診することをお勧めします。飼い主さんの小さな気づきが、ウサギの健康を守る鍵になります。

ウサギがかかりやすい病気

ウサギは不調を隠してしまうため、毎日の健康チェックでは気づけない病気のリスクが潜んでいることがあります。ここでは、ウサギに多くみられる病気の例や、どんな変化が見られたら病院へ相談すべきかをお話しします。

ウサギに多い病気

※詳細は追って別コラムでご紹介します

  • 歯の不正咬合
  • 胃腸うっ滞
  • 子宮疾患
  • 尿石症
  • 足底皮膚炎(ソアホック)などの皮膚疾患
  • 呼吸器疾患

など

こんな時は早めに受診を

毎日できる健康チェックの項目に加え、

  • 食欲が数時間以上戻らない
  • うんちが小さい、減っている、半日以上出ていない、数珠状につながって出ている
  • おしっこに血が混じる、排尿がしづらそう
  • よだれが出ている、よく口を動かしている(歯のトラブルのサイン)
  • 呼吸が荒い、鼻水や涙が出ている
  • 触ると痛がる
  • 短期間で体重が大きく変わった

いつもと少し違うという気づきが、治療の早期開始につながります。不安な時は、些細なことでもどうぞお気軽にご相談ください。