- 1. チンチラってどんな動物?
- 1.1. とても繊細で暑さ・湿度に弱い
- 1.2. 夜行性(薄明薄暮性)傾向
- 1.3. チンチラの歯はずっと伸び続けます
- 1.4. ファースリップってなに?
- 1.5. チンチラの生物学的な特徴
- 2. チンチラの飼い方
- 3. 1.基本の飼育環境
- 3.1. ケージの選び方は?
- 3.2. ステップやロフトについて
- 3.3. 設置場所の注意点
- 3.4. その他の用品
- 3.5. 砂浴びをしましょう
- 4. 2.食餌について
- 4.1. 主食(牧草)
- 4.2. 牧草には種類があります
- 4.2.1. イネ科牧草
- 4.2.2. マメ科牧草
- 4.3. 一番刈りチモシーを食べてくれない場合は?
- 4.3.1. 補助食(ペレット)
- 4.3.2. 副食(おやつ)
- 4.4. チンチラは虫歯になる動物です
- 4.4.1. 水分
- 5. 3.トイレ・衛生管理
- 5.1. 赤い尿が出たら動物病院へ
- 5.1.1. 採尿方法
- 6. 4.チンチラに必要な日常ケア
- 6.1. 砂浴び
- 6.2. チンチラは濡らさないで!
- 6.3. 毎日できる健康チェック
- 7. チンチラがかかりやすい病気
- 7.1. チンチラに多い病気
- 7.2. こんな時は早めに受診を
チンチラってどんな動物?

チンチラは、ふわふわで密度の高い毛並みと丸い体、長い尾が特徴のげっ歯類(チンチラ科)です。主に南米アンデス山地出身のオナガチンチラがペットとしてよく飼われます。チンチラの毛は触り心地が良く、好奇心旺盛で活発に動き回る性格です。1つの毛穴から約50〜80本もの毛が生えており、寒い環境でも体温を保つことができます。しかし、暑さや湿度に弱い点に注意が必要です。
とても繊細で暑さ・湿度に弱い
チンチラは被毛が厚く、体温調節が苦手なため高温・高湿度がとても苦手です。温度管理が不適切だと、呼吸数増加や体温上昇、重度では熱中症に陥ることがあります。夏は特に注意し、室温が25℃以上にならないようにしましょう。適温は18〜22℃(できれば20℃以下)、湿度は50%以下です。
夜行性(薄明薄暮性)傾向
チンチラは薄明薄暮性〜夜行性で、朝の薄明(夜明け前後)と夕方の薄暮(夕暮れ前後)、夜間に活発に動きます。ペットとして飼われている子の中には昼間に活動的な子もいますが、一般に日中は休むことが多いので、静かに過ごせる場所にケージを置いてあげてください。昼間の強い直射日光やエアコンの風が直接当たる場所は避けてあげてください。
チンチラの歯はずっと伸び続けます
チンチラの前歯(切歯)と奥歯(臼歯)は「常生歯」と呼ばれ、一生伸び続けます。かじる・すりつぶすことで歯がすり減るため、硬めの良質な牧草(1番刈りチモシーなど)を与えてあげてください。うまくすり減らないと歯が伸びすぎ、不正咬合や食欲不振の原因になります。
また、チンチラの歯が伸びすぎる不正咬合には、食餌中のカルシウムとリンのバランスの乱れが関与する可能性があると報告されています。特に、ペレットに含まれるカルシウムとリンの比率は「カルシウム:リン=2:1」が理想的とされています。
健康なチンチラの前歯の色は黄色です。白っぽい色をしている場合、カルシウムが不足していたり栄養不良の可能性があります。
ファースリップってなに?
チンチラは強い力でつかまれると、毛をまとまって自ら抜き落として逃げる「ファースリップ」という現象が起こることがあります。(診察中に起こってしまうこともあります…!)これは身を守るための防衛反応で、驚かせたり急に保定したりすると起きやすくなります。普段の触れ合いは「ゆっくり・そっと」を心がけ、無理に押さえつけないことが大切です。
ファースリップで抜けた毛は、数週間から数ヶ月かけて生えてきます。
チンチラの生物学的な特徴
ここでは、チンチラの代表的な生物学的特徴をまとめました。
- 寿命:約10〜15年(長生きな個体では20年以上も)
- 体重:オス:400〜600 g
メス:400〜700 g - 体温:35〜38 ℃(体温は低め)
- 心拍数:100〜350回/分
- 呼吸数:40〜100回/分
- 適温:18〜22 ℃(できれば20℃以下)大切!
- 適湿度:50%以下
- 性成熟:オス:8.5ヶ月
メス:4〜8ヶ月 - 1日の飲水量:体重1kgあたり40〜70mL (少ない)
チンチラの飼い方
チンチラは環境や食餌、日々のケアによって健康状態が変わる繊細な動物です。ここでは、飼育環境や日常ケアについてまとめました。
1.基本の飼育環境
ケージの選び方は?
チンチラは縦に跳ねる習性があるため高さのあるケージ(複数段の棚・ステップがあるタイプ)が理想です。ケージの広さは「跳んで回れる」十分な空間を確保しましょう。
また、チンチラはとにかく何でもかじる動物です。丈夫、かじられても安全な素材で、通気性が良く、掃除がしやすいものがおすすめです。
犬用や猫用などを代替することはおすすめしません。チンチラの体はまんまるに見えますが、実は細い体をしています。他の動物用ケージは網目が大きく、チンチラがすり抜けたり挟まったりしてしまうことがあるためです。
私も昔、獣医師になる前に、飼っているチンチラのケージが壊れて、代わりに犬用ケージに入れたことがあります。
すると、↓こうなりました。怪我や死亡事故にも繋がりかねず、危ないのでチンチラに適したケージを使用しましょう。


ステップやロフトについて
チンチラは活発で、上下運動をすることでストレスを発散したり、適度に運動量を確保したりします。そのため、ケージの中に段差や休憩場所をいくつか設けてあげることが大切です。
素材は金属製や木製など様々なものを組み合わせると、足裏への負担が偏りにくく安心です。また、寝そべったりくつろげる広さのステップを選ぶと、チンチラがより快適に過ごせます。
落下の危険がない高さや位置を工夫しながら、生活に立体感のあるレイアウトを整えてあげましょう。
設置場所の注意点
ケージは直射日光や直風を避けられる、静かで落ち着いた場所に置いてあげてください。大きな音や振動が伝わる場所、エアコンの風が直接当たる場所はストレスの原因になることがあります。チンチラは高温高湿度に弱い動物なので、熱や湿気がこもらないようにしてあげてください。
その他の用品
- 食器:倒れにくい重さがあり、かじられにくい陶器製の食器がおすすめです
- 給水器:衛生的で水がこぼれにくい給水ボトルを使用し、毎日新鮮な水に交換します。
- 牧草入れ:牧草が湿気や汚れを避けて入れられ、取り出しやすい位置に設置します。牧草はいつでも新鮮に食べられるよう、たくさん入れてあげましょう。
- 砂浴び容器:チンチラ用の専用砂(バスサンド)を入れられ、体が回転できる広さと、砂が飛び散りにくい深さのあるものを選びましょう。入口が大きいと出入りしやすく、側面が丸みを帯びた形は足への負担が少なく安心です。プラスチック製は軽くて使いやすいですが、かじり癖のある子には陶器製などが安全です。
- 回し車:チンチラでは活発な子では回し車を楽しむ子もいますが、足を踏み外したり、軸部分に挟まる事故が起きることもあるため注意が必要です。使用する場合はしっかり固定できる大きめのサイズを選び、日頃から安全に使えているか見守りましょう。
複数飼育では事故が起こりやすいため、設置は慎重に判断してあげてください。
砂浴びをしましょう
チンチラにとって砂浴びは、被毛を清潔に保ち、ストレスを解消するために欠かせない習慣です。
特にチンチラの体からは「ラノリン」という脂質が分泌されており、専用の細かい砂がこのラノリンと余分な汚れを吸着してくれます。一般の砂や粒が荒い砂は皮膚に到達できないため、“チンチラ専用砂”を使用しましょう。
砂は湿気を吸うと効果が落ちるため、こまめに交換(週に数回)し、乾燥した場所での保管が大切です。
砂浴びは長すぎても良くなく、1回10分ほどで十分です。
2.食餌について
チンチラの食餌は、消化器や歯の健康に関わる大切なポイントです。
主食(牧草)
チンチラにとって牧草は、”ごはん”であると同時に”歯や胃腸の健康を守る道具”にもなります。いつでも自由に食べられるように、新鮮な牧草を食べ放題にしてあげてください。
牧草には種類があります
チンチラで使用される牧草は、大きくイネ科とマメ科に分かれます。
イネ科牧草
チモシー、イタリアンライグラス、オーチャードグラス、オーツヘイなど。
主食になります。繊維質が豊富で、胃腸の動きを整え、歯をすり減らすのに最も適しています。基本は、葉と茎のバランスがよく、繊維がしっかり取れる「1番刈りチモシー」をおすすめします。
マメ科牧草
アルファルファ、クローバーなど。
タンパク質やカルシウムが多く、嗜好性が高い種類です。成長期や妊娠授乳期、痩せている子には役立つこともありますが、成チンチラの常用には向きません。
一番刈りチモシーを食べてくれない場合は?
ウサギやチンチラの飼い主さんからよくあるご相談です。チンチラの健康には一番刈りチモシーが大切ですが、あまり好きでない子もいます。
- ペレットを食べすぎていることが多いので、量を見直す
- イネ科で嗜好性の高いイタリアンライグラスやオーツヘイをチモシーに少量混ぜてみる
- 牧草入れの形や高さを変える
- お気に入りの産地やブランドをさがす
- チモシーを短くカットしてみる
などの工夫で改善することが多いので、試してみてください。
補助食(ペレット)
ペレットは牧草では補いきれない栄養を補助するためのフードで、主食はあくまで牧草で、ペレットは量を適切に、が基本です。
ペレットは栄養バランスの補助として与えますが、与えすぎは肥満や消化器トラブルの原因になることもあります。
色々な形や穀物が混ざったミックスペレットは、食いつきが良いことが多いですが、好きなものだけを選んで食べてしまうため、栄養が偏りやすいという問題があります。どの粒を食べても同じ栄養が取れるように作られたペレットをおすすめします。
副食(おやつ)
副食(おやつ)はチンチラの栄養上、必須ではありません。与える場合は特別な時のほんの少し程度に留めましょう。
チンチラは水分の多い食べ物(野菜など)を消化するのが得意ではありません。元々チンチラは南米アンデスの標高3000-5000mの乾燥した高地に生息していました。そこには水分の多い植物や野菜はほとんどなく、乾いた草が中心の環境です。そのため、チンチラに野菜は必要ではありません。
人のお菓子などは決して与えないでください。
チンチラは虫歯になる動物です
一生伸びる歯を持つチンチラですが、人と同じく虫歯(齲歯:うし)になることもあります。特に、ドライフルーツや穀物のようなおやつをよく食べるチンチラで多いと言われています。虫歯が進むと、食欲低下やよだれ、歯ぎしりなどが見られることがあります。
チンチラの口は小さく、歯の病気の治療は麻酔を要することもあり大変です。歯の病気の予防という意味でも、おやつは控えめに、が安全です。
水分
水分不足は体調不良につながるので、きれいな水をいつでも飲める環境が大切です。体調や季節で飲む量は変わるため、普段より減っていないかチェックしましょう。ミネラルウォーターの方がいいですか?とご相談を受けることがありますが、通常の水道水で問題ありません。
3.トイレ・衛生管理
チンチラは一般的にトイレを覚えられないことが多いですが、中には覚えられる子もいます。汚れた部分は毎日取り除き、敷材はこまめに交換して清潔を保ちましょう。
赤い尿が出たら動物病院へ
チンチラは、食べ物や代謝の影響で赤みのある尿(ポルフィリン尿)が出ることがあります。ポルフィリン尿の場合は健康上大きな問題はありませんが、見た目だけでは血尿かポルフィリン尿かどうかは判断できません。
尿石症などの泌尿器疾患が隠れていることもあるため、「いつもと違う尿かも?」と思ったら、早めに動物病院への来院をおすすめします。
ご来院の際は可能であれば、尿の持参をお願いします。
採尿方法
ケージの床材にペットシーツを使用している場合は、裏側のビニールのツルツルした面を上にして敷いてください(シーツが齧られないように注意してください)。排尿があるとビニール面で尿が弾かれるので、醤油差しタイプの容器やスポイトで吸い取り、そのままご持参ください。
4.チンチラに必要な日常ケア
砂浴び
「1.基本の飼育環境」をご覧ください。
チンチラは濡らさないで!
チンチラの毛は非常に密で、一度濡れるとなかなか乾かず、皮膚トラブルの原因になります。水浴びは必要なく、清潔さは砂浴びで十分。汚れが気になる場合は、無理に洗わずに動物病院にご来院ください。
毎日できる健康チェック
チンチラは体調の変化をかくす動物です。毎日のちょっとした気づきが、大きなトラブルの早期発見になります。
- ごはんの食べ方はいつも通り?
- うんちの大きさや量は変わっていない?
- おしっこの色や量にちがいは?
- 体をさわって痛がるところはない?
- 普段より元気がない、落ち着かないなど行動の変化は?
などといった“いつもと違うな”と感じることがあれば、すぐにご相談ください。特に、チンチラが半日以上食べない場合はすぐに受診することをお勧めします。飼い主さんの小さな気づきが、健康を守る鍵になります。
チンチラがかかりやすい病気
チンチラは不調を隠してしまうため、毎日の健康チェックでは気づけない病気のリスクが潜んでいることがあります。ここでは、チンチラに多くみられる病気の例や、どんな変化が見られたら病院へ相談すべきかをお話しします。
チンチラに多い病気
※詳細は追って別コラムでご紹介します
- 歯科疾患(不正咬合、齲歯)
- 胃腸うっ滞、鼓腸症
- 下痢
- 皮膚糸状菌症
- 熱中症
- ファーリング
など
こんな時は早めに受診を
毎日できる健康チェックの項目に加え、
- 食欲が半日以上戻らない
- うんちが小さい、減っている、半日以上出ていない、数珠状につながって出ている
- よだれが出ている、よく口を動かしている(歯のトラブルのサイン)
- 呼吸が荒い、鼻水や涙が出ている
- 触ると痛がる
- 短期間で体重が大きく変わった
いつもと少し違うという気づきが、治療の早期開始につながります。不安な時は、どうぞお気軽にご相談ください。