ノミ・マダニって?
ノミやマダニは、動物の体に寄生して血を吸う小さな寄生虫で、犬猫だけでなく、人にも影響することがあります。さまざまな感染症を持っていることがあり、人にも感染する病気を媒介することが知られています。
ノミについて
ノミは節足動物に分類される昆虫の一種で、種類はたくさんありますが、最近の傾向では犬や猫に寄生する多くは“ネコノミ”と呼ばれる種類です。
ネコノミの成虫は動物に寄生すると10分以内に吸血をはじめます。約1週間後には動物の体表に卵を産みはじめます。1匹のノミは一生に約160個の卵を産むといわれています。
産み落とされた卵はすぐに床やカーペットなどに落ち、幼虫→サナギ→成虫と成長し、また動物に寄生する、というサイクルで生活します。環境によっては4週間から長くて1年ほど生きることができます。
マダニについて
マダニは節足動物で、脚を8本持ち、昆虫ではなくクモの仲間に入ります。
一生のうち多くの時間を草むらや落ち葉の下などで生活しており、栄養となる血液を吸血するために寄生するのを待ち構えてます。
成ダニ(大人のダニ)は動物の体に寄生し、長時間かけて吸血します。吸血が終わると動物から離れ、産卵を行います。生まれた幼ダニは吸血と脱皮を繰り返しながら成長し、幼ダニ→若ダニ→成ダニ と成長するサイクルで生きています。
草むらが多い場所やアウトドアにいく場合は特に注意が必要です。
ノミ・マダニに咬まれるとどうなるの?
ノミの場合
ノミの寄生による被害はいくつかあり、猫ひっかき病など人にも影響するものもあります。

マダニの場合
マダニの吸血によって貧血や皮膚炎、唾液成分による神経症状(ダニ麻痺症)を起こす可能性があります。
さらに、マダニによる病原体の媒介も重大な被害として挙げられます。細菌やウイルスを持ったマダニが吸血し、マダニの唾液が体内に注入されると様々な感染症にかかる可能性があります。ノミと同じく、マダニに咬まれた場合も人に影響する可能性があります。
マダニが媒介する感染症の例
| 重症熱性血小板減少症(SFTS) | へモプラズマ | バベシア症 | |
|---|---|---|---|
| 原因 | SFTSウイルス | へモプラズマ | バベシア(赤血球に寄生する原虫) |
| 症状 | 発熱・嘔吐・下痢、血小板減少など ダニからだけでなく感染した犬や猫の体液から人に感染することも (三重県でも感染猫から獣医師へ感染した例があります) | 発熱や貧血など 赤血球に細菌が感染し、赤血球が壊されることで重度な貧血を起こします。 | 貧血や発熱や元気食欲低下など 本州は青森から九州まで広く分布していますが、特に西日本で発生が多いと言われています。 |
ノミ・マダニの予防は1年中必要です

「冬は予防しなくてもいいですよね?」というご相談を受けることがあります。
- ノミは13℃以上の環境(暖かい室内など)で1年中活動します
- マダニは冬でも活動する種類がいます
(恥ずかしながら、私の実家の犬は、真冬の2月に予防薬を投与していなくてマダニに咬まれたことがあります)
そのため、1年を通しての予防をおすすめしています。
予防方法は?
月に1回、飲み薬やスポット剤などのノミ・マダニ駆除薬を使用します(予防薬とよくいわれますが、正しくは駆除薬といいます)。
駆除薬は、マダニが吸血した際に薬剤がマダニの体内へ入り、その作用によって駆除効果を発揮します。そのため駆除薬を使用していても、吸血の段階でSFTSなどのダニ媒介性感染症に感染する可能性が完全になくなるわけではありません。
駆除薬の投与はもちろん大切ですが、マダニによる被害を防ぐためには、「マダニに咬まれないようにすること」自体も重要です。
- 外出時の草むら、雑木林をさける
- 散歩後は動物の体にノミやマダニが付着していないかチェックする
- マダニの生息が疑われる場所に入る際はできるだけ露出の少ない格好をする(飼い主さん)
などの工夫をおすすめします。
市販の予防薬でもいいの?
動物病院で処方される駆除薬を使用しましょう。
市販の駆除薬は、ノミやマダニの駆除効果が動物病院で処方される駆除薬に比べて低いといわれています。どこまで効果が見込まれるのか不明な点もあるため、病院で処方されるものが安心です。
ノミ・マダニに咬まれたら
動物の体についているノミやマダニを見つけたら、動物病院にご相談ください。
ノミの場合
指でつぶしたりすると、ノミの卵やノミに寄生している瓜実条虫が飛び散る可能性があります。
マダニの場合
咬みついているマダニを無理に引き抜くと、マダニの口だけが皮膚に残ってしまい、炎症を起こすことがあります。また、マダニが吸血している状態でつぶしてしまうと、動物の体内にマダニの体液が逆流する可能性があります。ノミもマダニも、見つけた場合はご自分で取らずに、動物病院の処置を受けましょう。