避妊・去勢ってなに?

避妊・去勢は、精巣や卵巣、子宮といった生殖器を取り除く手術のことをいい、動物たちの健康を守る大切な予防診療のひとつです。
手術を受けることや、生殖器がなくなることに対して、不安や抵抗を感じる方もきっとおられると思います。避妊・去勢手術は全身麻酔を伴う手術で、一定のリスクが存在します。しかし、避妊・去勢手術には、望まない妊娠を防ぐだけでなく、さまざまな病気を予防したり、性ホルモンに関連した問題行動を減らせるなどのメリットがあります。

避妊・去勢手術のメリット

避妊・去勢手術には次のようなメリットがあります。

屋内飼育をしている場合でも、脱走や誤って外に出てしまった時に妊娠してしまった、という相談は意外と多いです。私の身近な知り合いにも、“脱走したわんちゃんが妊娠してしまい7匹子犬を産んだ”という方がおられました。
避妊・去勢手術をすると、意図しない妊娠を生涯にわたり防ぐことができます。

性ホルモンに関連した病気には、命に関わるものもあります。避妊・去勢手術を行うことで、以下の病気の発症率を下げることができます。

  • 子宮蓄膿症(命に関わる緊急疾患です)
  • 乳腺腫瘍
  • 卵巣腫瘍
  • 偽妊娠  など

犬も猫も、早い子では生後6ヶ月ごろから初めての発情(初回発情)を迎えます。乳腺腫瘍の発生には性ホルモンが関連しているため、初回発情を迎える前に避妊手術を行うと、乳腺腫瘍の発生率を大きく下げることができます。
猫の場合、避妊手術をしていない子の乳腺腫瘍発生率は避妊手術をしている子よりも7倍高いといわれています。

  • 前立腺肥大
  • 精巣腫瘍
  • 会陰ヘルニア
  • 肛門周囲腺腫

潜在精巣(停留精巣)って?

オスのわんちゃん、猫ちゃんの精巣は、生まれたばかりの頃はお腹の中にあります。犬では生後30日ほど、猫で生後21日ほどで、精巣はお腹の中(腹腔内)から陰嚢へと降りてきます。ところが、その精巣が腹腔内や鼠径部(足の付け根)に留まったままになってしまう状態を「潜在精巣(停留精巣)」といいます。
陰嚢に降りずに体内に残った精巣は、体温の影響で正常な位置の精巣に比べて約10倍以上の確率で腫瘍化しやすいことがわかっています。そのため、潜在精巣が見つかった場合は早めに去勢手術で摘出することをお勧めしています。

犬に比べて猫では、性ホルモンが原因となる問題行動が起こりやすく、これらを抑える目的で避妊・去勢手術を受けられることもあります。

避妊・去勢手術のデメリット

避妊・去勢手術を受けるメリットは大きいですが、いくつかのデメリットもあります。

どんな手術にも、麻酔のリスクが伴います。手術前の検査で麻酔のリスクを事前に評価したり、麻酔の管理を慎重に行うことでリスクを抑えるように最大限努力しますが、麻酔に対するアレルギーを持っている場合など、危険性はある程度存在してしまいます。

避妊・去勢手術をすると、太りやすい体質になります。当院では、避妊・去勢後用のフードを使用することで管理をお勧めしています。

発生率はまれですが、特に大型犬でホルモン関連性の尿失禁が起こることがあります。

などのデメリットがあります。メリットとデメリット、両方をご理解いただいた上で動物と飼い主さんにとって最良の選択をしていただければと思いますので、気になることはご相談ください。

手術のタイミングはいつ?

犬猫ともに、生後6ヶ月〜が目安です。
犬種や体調によっては前後することがありますので、ご来院の上で時期を決めれたらと思います。

避妊・去勢手術は予約制です

当院の避妊・去勢手術は予約制です。一度、事前にご来院いただき、診察・説明の上で予約を取らせていただきます。
手術当日の流れや詳細など、ご来院時にお話させていただきます。

(♀)手術日と発情(ヒート)が重なってしまったら

当院では、女の子の避妊手術で、予約日当日に発情(ヒート)が重なってしまった場合は、手術日の延期をおすすめしています。
発情中は犬猫ともに、子宮・卵巣周りの血管が太くなり、手術のリスクが高くなります。手術を受けられる子たちが無事におうちへ帰れることを第一に考え、延期をお願いしています。

よく見られる発情のサイン

  • 陰部の出血や腫れ
  • 激しい鳴き声(特に猫)
  • オス猫を引きつける行動(ロードーシス姿勢)
    →胸とお腹を床につけ、お尻を上に上げる姿勢をとります。腰や背中を撫でると誘発しやすくなります。

の有無などによって適した時期が変わります。